健康信念仮説
健康信念仮説(Health-Belief model:Becker MH)(1)
患者がセルフケア行動を起こすか否かに関して最も理解しやすい考え方は健康信念仮説でしょう。
これは人がどういう意識を持てば予防行動を起こす気になるのかを実証したものです。
予防行動を実行に移す可能性は表のような考えに影響されるといいます。
Health-Belief model | |
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信念 | セルフケア行動に対して |
1. 罹患性に対する信念 (自分もその病気に罹る可能性がある) | プラス要因 |
2. 重大性への信念 (その病気になったら一大事だ) | プラス要因 |
3. 有益性への信念 (その病気を免れるために有益な手段がある) | プラス要因 |
4. 予防行動を取るために被る損失の大きさに対する信念 | マイナス要因 |
注:病気=糖尿病または合併症に置き換える |
例えば、 1.は糖尿病患者の誰もが合併症を生じる可能性があるという認識であり, 2.は合併症が生じると目が見えなくなったり, 透析を続けなくてはならないのだという重要性です。
3.は良い血糖コントロール状態であれば合併症は起きない という知識であり, 4.はその予防行動を取る際に我慢しなければならない好物や 面倒な運動療法です。
健康信念仮説(Health-Belief model:Becker MH)(2)
大事なのは予防行動が患者にもたらす負担の大きさで負担を「なんだこの程度のことか」と感じ、「病気になったらこんなに大変だ」の大きさが合併症になることの重大性より小さければ,より予防行動を取りやすくなります。
療養指導士は実生活に沿った行動計画を具体的に練ったり、精神的サポートをしたりすることにより、患者の負担を相対的に軽減できるのです。
これが療養指導士の役割なのです。